「貧血かしらねー?」
「優衣今あれじゃないです。今日プールはいってたから」
「優衣ちゃんは貧血体質?」
「違います。今までこんなこと一度もなかった」
「まぁ少し休ませましょ」
優衣はスヤスヤと眠っている。
「テスト勉強で寝不足とか?」
「ありえるわねー」
多田先生と千夏の会話が耳にはいる。
いや、ありえないな。
優衣は眠くなったらおきてられない。
優衣、どこか悪いのだろうか?
病院に連れていくべきか?
優衣は大げさだって怒るよな...。
「ん...」
「優衣!」
「涼?どうしたの?」
「お前たおれたんだよ」
どうやら状況がわからないらしい。
「あ、貧血かな...」
「わからねぇ。最近よくあるのか?」
「うん。急にめまいがしたり、気持ち悪くなったり。」
優衣はやや心配そうだ。
「病院いくか?」
「平気だよ」
優衣の笑顔が引きつってる。
たぶん妊娠したんじゃないかと考えてるはず。
それはたぶんない。
リオはしてないって言ってたし。
男たちが勝手にしたなら話は別だ。
「優衣、いくぞ」
俺は優衣の手を引き、近くの内科に向かった。
「香川優衣です」
俺は優衣の診察券を出し、いすに座る。
「涼...」
こまった顔をする優衣。
「大丈夫。症状を言って、見てもらえ?」
頭をなでると少し落ち着いた優衣。
大丈夫。ただの貧血。
大丈夫。妊娠じゃない。
大丈夫。なんともない。
俺は呪文のように繰り返してた。

