人だかりの中心にいたのは、サラサラな髪に人形見たいな目。
低めの身長で、ほそい...可愛いとしか言いようのない女の子だった。
「リオ...?」
誰?と彼女の目が訴えた。
「転校してきたリオちゃんだよ。2組の」
「.........っ!!」
優衣にあたしを紹介した男の子は、小5とは思えないほどに大人びた美しい人だった。





きっとあたしはあの日...彼に一目ぼれした。





こっちに向かってくる優衣。
心臓の動きが早くなる。
「はじめまして。香川優衣です。」
にっこりほほ笑んだ優衣...その笑顔はまるで天使。
「伊田...リオです」
あたしも精いっぱいの笑顔をかえした。





「優衣ー。帰るぞ」
さっきの美男子が叫んだ。
「あ、涼。待ってー」
パタパタと走り去る優衣ちゃん。
にこにこ笑う美男子。





「あの二人つきあってるの?」
ちかくにいた男子に聞いてみた。
「つきあってないぜ。涼の片思い。幼なじみなんだよ」
「片思い?あの美男子が?}
考えられなかった。
あんなにかっこいいのに片思いなんて...。
優衣ちゃんは涼くんが嫌いなのかな?
気づいてないのかな?
なんで付き合わないんだろ?






子供だったあたしには、付き合わない理由も告白しない理由もわからなかった。
もうあの頃から、涼は優衣のことだけを考えてずっと...
優衣に片思いしていたのだろうか?