「今日はからあげよー」
「やったー」
子供みたいな姉貴に、赤ちゃんみたいな父親。
いつも笑顔の母親。
幸せそうな...優衣。
そんな幸せは今はない。





「リオちゃん、食べられる?」
「はい!から揚げ大好きです」
笑顔は普通の女子の2倍は可愛い。
優衣には負けるけど。





「今日久し振りに優衣きてたよ」
姉貴が優衣の話題を出した。
わざとなのか、違うのか...。
「あら。そうなの?会いたかったわー。ご飯食べてかなかったのね」
残念そうなおふくろ。





「リオちゃんは、優衣と仲良いの?」
「あ、普通です。優衣は誰とでも仲良いから」
たぶんこれはリオの本心。
「そうよねー。優衣ちゃんは昔から可愛いしね。」
だんだんリオがみじめになってきた。





「母さん、春。リオちゃんがきているんだからそんな話はやめなさい」
親父...わかってるんだろ?
俺とリオの関係。
俺がいま想ったこと。
助けてくれたんだろ?
リオじゃなくて俺を。





「そうね、ごめんねリオちゃん」
「いえ。優衣は誰からもすかれてて...正直うらやましいです。」
初めて聞いたリオからの『うらやましい』。
リオは優衣がらやましかった。
同時に邪魔な存在でもあった。





優衣がいなければリオがいちばんだから。