「こんにちは」
しびれを切らしたリオが姉貴に挨拶した。
「誰...かな?」
「涼君とお付き合いさせていただいてます。リオです」
姉貴が俺を見る。いや、にらむ?
「彼女?」
「うん」
優衣の前でそんなこと言わせんなバカ姉貴。
「ごゆっくり。優衣ちゃん、帰る前あたしの部屋きて?」
「うん、行く」
優衣、ごめんな?
こんな思いばっかさせて。
でも俺優衣に笑っててほしいんだ。
優衣の傷口を広げたくないんだ。
ほんとは俺が優衣の傷をいやしてやりたいんだ。
「涼の部屋奇麗だね」
「あ、あぁ」
おふくろが片づけたのか...。
とりあえず助かった。
「あ、これ涼と優衣?」
写真たてを手に取るリオ。
「さわんな」
俺は思わずリオから写真立てをひったくった。
「あ、ごめんね?二人の大事な思いでだもんね」
写真は俺と優衣が3歳のころのもの。
みんなで遊園地に行った日だ。
部屋が沈黙につつまれる。
どうしたらいいんだ?
「涼、ジュース」
姉貴‼ナイスだ‼
「はい、リオちゃん」
姉貴からコーラを受け取るリオ。
「優衣ちゃんも」
優衣にはリンゴジュース。
優衣は昔からこれが大好きだからな。
「ありがと春姉♪」
今のは、ほんとにうれしそうだった。
「覚えてたんだね?」
「当たり前♪うちはいつ優衣ちゃんがきてもいいように常にリンゴジュースあるから」
優衣の笑顔を見たのはいつぶりだろうか?
可愛くて愛しくて思わず見とれる。
「じゃーね」
姉貴が俺を見る。
どういうつもりだよ。姉貴は眼でそう言ってた。
「あたし、涼のちっちゃい頃知りたいな?」
「「え?」」
優衣と声が重なった。
「優衣、話してよ」
「あ...うん...何から話せばいいの?」
「涼はどんな子だったの?」
「今と変わらないよ?優しくて自分より他人。」
優衣がどこか懐かしそうな顔をする。
「涼は泣き虫だった?」
「全然。何があっても泣かないんだよ?」
優衣が笑顔で俺を見た。

