「涼、入ってー」
「あ、はい!」
何度か来たことある子のスタジオは、JOY専用スタジオ。
新人でJOYってことはマジ人気なのか。
あったことも見たこともねーからな...





「お願いしまぁす」
リオ...その人物を見て俺は固まる。
「はじめまして。よろしくお願いします」
にっこりほほ笑むリオ。
「あ、よろしく」
同様を隠せない俺。
“久し振り”リオの唇がかすかにそう呟いた。





初めから俺だとわかってたのか...
驚いた様子は全く見えないリオ。
もともときれいな顔立ちのリオは化粧でもっと栄えている。
リオのきれいな体をしなやかに映しだす細身のドレス。
ここにいるリオは...嫉妬に満ちたあの頃のリオではない。





でも...こいつが優衣を傷つけた。
その真実だけは消えない...
優衣の心の深い傷も。





「そんなに睨まないでよ。今は彼氏だっているし、優衣にも悪いと思ってる」
悪いと思ってる...??
そんな平気な顔してあの事件を語るのか?
どれだけ優衣が傷ついたか...リオにはわからないのか?
「リオ...お前とは最初で最後だ」
「どうでしょうね?あたしきっとすぐ優衣に追いつくわ。№1同士が撮るのは普通じゃない?」






得意げな顔で宣言するリオ。
「残念だけどリオに優衣は越せないよ」
俺はつぶやきカメラの前に立った。
リオも俺のあとを追いカメラに向かう。
『涼』と『リオ』の世界が始まる。
ここにプライベートを持ち込むわけにはいかない。
仕事だから。