入口前まで行くと
「ようこそオーシャン高塚リゾートホテルにおいでくださいました。」と従業員達が深々と頭を下げる。

そして、中心にいた女将らしき人が
「皆様、当ホテルへようこそおいで下さいました、誠に有難うございます。先生からの注意事項や説明があるようですので、まずはロビーまでご案内させていただきます。」
と丁重に出迎えてくれた。

ロビーに入ると、大きなガラス張りから除く自然がとても綺麗で、ゆったりとした白いソファーやお洒落に統一されたインテリアが修学旅行ではなく、海外旅行にでも来たかのような錯覚に陥いらせた。

するといつの間にか隣にいた久住が
「ねっ、凄いでしょ?びっくりするよね。とても修学旅行の予算で泊まれるようなホテルじゃないと思わない?」と言う。

そこに「確かにね、校長のポケットマネーとか?鳥居先生の為に」と武井が口を挟む。

すると美知子が「いや、もしかして訳ありホテルなのかも〜」と言った。

私達は想像以上に贅沢で現実離れしたホテルについて、喜ぶ反面、そう思わずにはいられなかったのだ。





目一杯声を張り上げた鳥居先生が
「皆さーん、これから注意事項があるので、ここに並んでー!はい、ちゃんと並ぶ!
よし、ちゃんと並んだねー!
まずはこの旅館には私達しかいないので、他のお客さんに迷惑かけることはないだろうけれど、走りまわったり、騒いだりしてホテルに迷惑をかけない事!
次にホテルのキーはカードなので…」

と幾つかの注意事項を説明してく。
その後、女将さんからはホテルの簡単な見取り図とパンフレットをもらって簡潔に説明してもらった。


そこまで大きなホテルではないし、しかも二人部屋で各自泊まるのだから私達しかいないのは当然だろうが、ますますこのホテルに泊まれる事に疑問が沸いてくる。
だが、せっかく素敵なホテルに泊まれる事にあれこれ気にしても仕方がないし、楽しまなくては損だと思い直す事にして、美知子と私は自分達の部屋にとりあえず向かう事にしたのだった。