私達は2階の207号室に割当られた。
3階建てのホテルには2階と3階が各階に10部屋があり、一階にはロビーに温泉、プール、娯楽室、レストラン等がある。あくまでも修学旅行なので食事はレストランでとる。
今回は鳥居先生と金見先生しかいないので、食事は大分盛り上がった。






美味しい食事をした後は自由時間。
美知子と温泉に入ることにしたので、一旦部屋に戻った。

「露天風呂ー!テンション超上がるねっ」

「美知子、下着忘れるなよー」

「あっ、いけない!忘れるとこだったぁ」

「まったく」

まったく、どうしようもない子で。




温泉に入ると、これまた凄い所で、檜木風呂やら大理石風呂やら、数あるお風呂に加えて、でっかいサウナまでついてる。

ちゃんと身体を洗ってから(洗わないで入ろうとする輩もいたので、喝入れてやった)
お風呂に浸かり、あちこちのお風呂を堪能した後は、締めに露天風呂へ。

「はぁ〜極楽極楽♪」

「本当だね、中じゃすぐのぼせちゃうから、外の空気が気持ちいいよ」

「はんな、さっきちょっとしんどそうだったもんね」

と言ってくれたので横にを見ると美知子がいない。なんとお風呂でシンクロしだしたのだ。

「プールじゃないんだから」

「えへへっ、楽し〜」

頬を赤らめている美知子は凄く可愛かった。

ちなみに美知子に付き合って温泉にかれこれ一時間半も!いるので、他の子達はもう上がっている。

露天風呂からはるか向こうには、
山の雄大な自然と山の隙間から湖が顔を出している。

お風呂の目の前の庭(ホテルの敷地内)には手入れされた名前のわからない木々に燈籠、計算しつくされた位置に和紙に包まれたキャンドルまでが置いてあって、『和』というのがぴったりな庭のつくりで。
さらに、月の明かりが幻想的な雰囲気を醸し出していて、はるか向こうの自然と計算しつくされた庭のアンバランスさを上手く調和させていた。


泳いでいる美知子を無視しつつ、その景色を堪能していると、手入れされた木々の奥に石が敷き詰められた細道らしきものが微かに見えた。