「っそんなこと無いよ。転けただけだもん。心配しすぎだよ~、」 笑ってみるが、上手く笑えない。 すると先生がパシッと歩の腕を掴んだ。 「じゃあ何なんだ?この無数の傷は。これも転けたのか?転けただけでこんな傷つかないよ?」 つい興奮しているのか、掴む力が強まる。 「先生、痛い……。」 「あ、ごめん」 先生は申し訳なさそうに腕を離した。 沈黙が走る。 痛いところを突かれてしまった。 言い返す言葉が見つからない。 「くそ、図星だな。」 先生の小さなつぶやきに、歩は泣き出しそうになった。