その人は養護教諭の先生らしい。 歩は仕方なく、治療してもらうことにした。 治療後、先生はニコッと笑う。 笑顔が優しげな人だ。 さっきので躊躇っていた歩も、少しずつ躊躇いはなくなってきた。 「はい、終わり。君は黒瀬だよね」 「はい、」 先生なのだから普通なのかもしれないが、名前を知ってくれていることが嬉しい。 先生はいきなり、どんよりと暗くなった。