私達は野外ステージの袖に向かって歩き出した。 「…ぇ、ねぇ…恋美?」 「えっ…」 ふと顔をあげると歩ちゃんが私の顔を覗きこんでいた。 「どうしたの?さっきから浮かない顔して」 「だ、大丈夫だよ」 私は無理やり笑顔を作った。 私にもわからないけど、ずっと城戸くんとのやり取りが頭から離れない。 「……有吾!私、恋美のメイク直してくるから先行ってて!」