城戸くんは何も言わず動かず、ただ私のほうを見ていた。 どうしたんだろ? でも私だけわかっていなかったんだ。 私は…大貴くんの顔が少し陰ったのには気付けなかった。 「洋介。落としたぞ」 「あっ…あぁ」 有吾くんの言葉に気付いたように城戸くんは拾い上げた。 「城戸くん。調子でも悪いの?」 私は城戸くんに近寄った。 なんだかいつもより顔が赤い気がする。 「いや…なんでもない」