「大丈夫よ。愛里子ちゃん、私の携帯カメラにちゃんと写ってたから…」
弥生は顔の汗を拭きながら答えた。
「良かったぁ〜」
「でも、よく他人のカメラに平気で入るよな」
「日和、写真嫌い?」
愛里子の問いに弥生は息を飲んだ。
「大嫌い」
ティーカップを持つ弥生の両手が震える。
「なんで?」
あどけない眼差しで日和を見つめる愛里子。
日和は愛里子の頬をそっと撫でた。
「魂吸い取られちゃうから」
「えっ!そうなの〜!」
またもやムンクになる愛里子。
日和の言葉にホッとした弥生。
しかし、優しくティーカップをテーブルに戻す手は、まだ少し震えていた。
「弥生さん!愛里子の魂がぁぁ〜!」
ひとりパニくる愛里子。
「それは…なんとも言えないね…」
「それより、部屋早くみせろよ。オレんちだぞ」
「日和は愛里子の魂が心配じゃないの!?」
日和の腕にしがみ付く小動物のような愛里子。
「お前の魂より、オレの家の方が心配だ」

