君の詩が色褪せても

日和と律壱がコンビを組むようになってから色々世話をしてくれる女性だ。

「先に調べて置くべきだったな」

そしてもう1人、時田さんの上司で日和たちの担当、いわばマネージャーのような男性、藤巻さん。




「…でも、言われてる内容は本当のことですよ…」


日和がボソッと呟く。



瞬間に律壱の動きが止まる。




「オレ等が過去に捕われてるのは本当のことだから」




「日和くん…」




サングラスで確認しにくい日和の表情。


しかし、律壱の心の鏡にはしかと映って見えた。












過去の栄光―





そして…







それによって失ったもの―











母さん…―














律壱の車がいつも通り日和のマンションの地下駐車場へ入っていく。



駐車スペースには止めず、律壱はマンションに車を横付けした。





「…今日は…なんか、悪かったな」

ハンドルを握りながら、久々に喋る律壱は日和と目を合わせることが出来なかった。




「いや…、オレの方こそゴメン」






律壱の熱い言葉に、ありがとうすら言えなかった自分がもどかしい日和だった。