「ホントにドSだね…」
………―
「意地悪!先生に言い付けてやる!」
はぁぁあ??…―
「先生って誰だよ!?」
「そんなの愛里子が知る訳ないでしょバカ!」
「おま…、バカって言った方がバカなんだぞ!」
「じゃあ、今バカって言った日和もバカじゃん!」
まるで小学生のケンカのような会話が部屋中にビンビンと響いた。
かっ…かなわない…―
日和は疲れ込んだ様子で額の汗を拭いた。
「お掃除は愛里子が自分でするから平気」
プンプンからニコニコに変わる愛里子のあどけない表情。
それを見て、日和はなんだかとても安心した。
なに、癒されてるんだ―
キャラじゃないぞオレ―
「ひとりで平気?」
「平気だよ。だから日和はお仕事頑張って」
「…ああ」
「チンのご飯が出来たら、お部屋に声かけるね」
「…おお」
天使の、いや、妖精の微笑みに惑わされ、日和は自室に向かった。
日和の部屋の窓から月の光が差し込んでくる。
時が経つのはあっという間だ。

