君の詩が色褪せても

好奇心旺盛に聞いてくる律壱。


「金髪だぞ」


「妖精だから髪の色は関係ないだろ。桜の妖精とか?」


「桜だったらシーズン終わってるし…」


輝く律壱の眼差しに少しうざったくなる日和。



「そうか、シーズンオフだから桜だったら来年まで帰れないな」



「何かいい案ないかな…愛里子が少しでも記憶を取り戻せるような…」


律壱を無視して考え込む日和。




「あっ…」


「何だよ?」



「名案かも…。日和、いらないノートとかあるか?あと、ペンも!」


「ノート?」

渋々席を立つ日和。
愛里子は黙ったままでいた。





「コレならあるけど」



日和が律壱に放った。



「何?」

覗き込む愛里子。



白い紙表紙の安っぽい薄手の手帳。

表紙には日和たちが所属する事務所の刻印が小さく刻まれていた。


「事務所の粗品かよ…」


「仕方ないだろ、それしかないんだから」

ペンを持って帰ってくる日和は頬を膨らませる。


「ま、形はなんでもいいんだけどさ」



「それ、何に使うんだよ?」



「この秘密手帳に愛里子ちゃんが覚えてることや思い出したことを書いてもらうんだよ」