あの日から、毎日のように訪れる公園。
相変わらず人気は少ない。
両手を広げ、深呼吸をする日和。
眩しい太陽に、一瞬目が眩む。
空から地上に目を移したとき、日和はある姿を捕えた。
海を見つめる人の姿。
日和は唾を飲んだ。
白いロリータワンピース。
フリルのついたハイソックスにエナメルの靴とバッグ。
日傘の下から金色の長いソフトウェーブの髪が揺れる。
「愛里子…」
無意識に零れる名前。
日和は導かれるかのように、ゆっくりと近づいていく。
愛里子にそっくりな姿。
でも背中の羽根はない。
海を見つめる、その横顔を見て、日和は息を飲んだ。
弥生さん…ー
気付けば、日和は彼女のすぐ隣まで来ていた。
まるで愛里子を甦らせたような姿の弥生が目の前にいた。
弥生は隣の気配に気を取られることなく、凛とした眼差しで海を見ていた。
「ぁっ…あの」
日和が声をかけようとすると彼女の口が動いた。
「植杉日和さんをご存知ですか?」

