植杉日和、25歳。
口は悪いが、意外と優しい面を持つ。
いわゆる流行のSキャラ男子。
自称、秀才作詞家。
日和たちが事務所を辞めて、3年の月日が流れた。
律壱はREACHとして活動しながら、作曲家としてアーティストに楽曲提供を続けている。
日和も作詞の活動を続けているが、最近は歌い手が自ら作詞することが主流となり、以前のように注目を浴びることはない。
それでも、日和は書き続けていた。
「おはよう、ひよりん」
「善さん、今日も元気だな!」
自転車にまたがった日和が足を止めるいつもの光景。
「仕事か?」
「うん。前回の仕事が上手くいったからね」
「あの詩、わしも気に入ってな、親戚中に詩集配ったぞ!」
「ありがとう、善さん」
優しく微笑む日和。
「そーか、善さんが親戚中に…」
日和の詩集を手にして、律壱はソファーに座った。
「サイン、頼んでくれりゃ良かったのに」
「鼻高々だな。どーだ、久しぶりにヒットメーカーになった気分は?」
「ヒットメーカーって…、別に何も変わらねーよ」
照れながら、窓の外を眺める日和。

