あの日、公園で弥生が話してくれた内容を思い返しながら、ページをめくる日和。
しかし、主人公愛里子の姿はどこにも見当たらなかった。
そして気付く。
相手役の少年が自分に似ていることに。
弥生が想像で描いた少年は日和そっくりだった。
運命…か…ー
「弥生さん、オレに言ったんだ」
「何を?」
顔を上げる日和。
「愛里子ちゃんみたいになりたいって」
そう言えば…
あの日も言ってたな…ー
愛里子は憧れなんだってー
「弥生さんは理想の自分を愛里子として描いたんだな」
律壱はしみじみ言った。
少年に愛される存在か…ー
日和は照れ隠しで鼻の頭をかく。
「っつーか、この原稿オレ達が持ってていい訳?」
「そこなんだよな。返すタイミング見逃したし…この原稿見て、変に思われても困るし」
悩む律壱。
「オレが預かっておくよ」
日和は静かに原稿を封筒にしまった。
あいつが…妖精愛里子が、この世界にいた証だから…ー
そしていつか…
弥生さんに見せよう…ー

