「律壱くん…あっ愛里子ちゃんは見つかった?」
「いや、全く。見かけた人もいないみたいだ」
「そう…」
抱いていた封筒をギュッと握り締める弥生。
「原宿もいなかった?」
「うっ…うん」
「そっか…」
「日和くんは?」
緊張した声で話す弥生。
「あいつとも連絡取れないんだよ」
「それで家に?」
「ああ、でも留守だった」
髪をクシャクシャする律壱。
「弥生さんも日和に?」
「うん…」
「大丈夫?顔色悪いよ」
「律壱くん…すごく変な話するけど、聞いてくれる?」
「変な話?」
まばたきする律壱。
自分でも…
信じられないこと…ー
「愛里子…ちゃんの正体が分かったの」
「愛里子ちゃんの正体?!」
「これを見て」
そう言って、弥生は封筒の中の原稿を律壱に渡した。
ほぼ真っ白な表紙原稿。
「…君の詩が色褪せても?」
「それはタイトル」
落ち着いて原稿を一枚ずらす弥生。
「…私の名前は愛里子…」
律壱は台詞を読んで目をパチクリさせた。

