『お礼?』
『はい…。だから、絶対プロになって、いつか直接会いに行きたいんです』
日和は胸が熱くなった。
『あの…その投稿した漫画の内容…、話してくれない?』
『えっ?…』
詩に恋したのは…
初めてだった…ー
弥生は自宅に戻り、クローゼットの奥にある段ボールを引きずり出した。
ボロボロでほこりをかぶった段ボール。
弥生は恐る恐る段ボールを開ける。
中から出てきたのはデビュー前に描いた作品の数々だった。
沢山の封筒の中から必死に何かを探す弥生。
床一面が封筒に溢れる。
「あった…」
額の汗を汚れた手で拭う弥生。
間違いない…ー
初めて投稿した作品…ー
弥生は緊張しながら、中の原稿を取り出した。
「いない……」
本当にここから?ー
「愛里子…」
『タイトルは…君の詩が色褪せても…っていうの』
日和と少女は近くのベンチに座っていた。
『君の詩が色褪せても?』
『う…うん』
恥ずかしそうに鼻の頭をかく少女。
『で?』
日和は興味深げに問いただす。

