『何で…』


だって帰るの遅くなるって…、


「お前が心配で帰って来たんだよ。
楓も授業を早上がりしたんだってよ」

「それで灰希と中に入ったら部屋が真っ暗で、結衣の叫び声が聞こえたからビックリしたよ」


楓の大きな手が私の頭に乗っかった。
でも、その手は何故か冷たかった。


「お前、雷苦手だもんな!」


そう言って笑う灰希と楓は全身びしょ濡れだった。

私なんかの為に、傘もささないで帰って来てくれたんだ。


『二人とも、ありがとう…っ』


濡れているのなんか気にしないで、二人に抱きついて涙を流した。


「俺ら風呂入って来るから、ご飯の準備しとけ」


体を引き剥がされて、私の部屋から出て行こうとする二人。


『え…』

「一緒に入るのは仕方がねぇーだろ!
待ってたら風邪引いちまうつっーの!」

『あ、違うの』


いや、違わないかもしれないけど…、


『食べて来るって言ってたから、買い出ししてない…』


まさかの展開に申し訳なさそうに言うと、灰希が一番に驚いて固まった。