ＴＲＵＭＰ

「何って、今からラピスラズリに……」

「そ、そうか。早く行って来い。誰かいるだろ」

急かされてるような気分になった。

「智也さん、デートですか？」


うわ〜。


智也さんの彼女〜？


みたぁぁぁい！！！


「違うっ！そんなんじゃない！」

冷たく否定されてしまった。


うわ〜！！！


彼女紹介するのヤなんだ〜。


そこへ。

「こちらクローバー。対象部屋にいないんで、一度そっち戻ります」

車の中から、無線らしき声が聞こえてきた。

「……クローバー？」

「あ、藍！何やってるんだ！早く行かないと、いいのがなくなるぞ！ほらっ！早く行け！」

あきらかに、慌てているのがわかった。


クローバーって、前に……。


確か……。


「海斗さん？」

あたしの言葉に、智也さんが、飛び上がった。

「な、な、何の話しだ？海斗？」

あきらかに動揺していた。

「確かクローバーって海斗さんでしたよね？」

この一言が、止めとなり、ちょうどマンションから海斗さんが出てきて、動かぬ証拠となった。

海斗さんもあたしを見つけると、慌てて回れ右をしてどこかへ行こうとした。

「な、何で逃げるんですかぁ」

あたしは、わけがわからず海斗さんにも声をかけた。

「よ、よぉ久しぶりだなぁ」


はぁ〜？


昨日も顔は合わせましたよ。


話しはしなかったけど。


「何やってるんです？二人して」

「い、い〜からお前どこか行けよ！仕事の邪魔なんだよ！」

「仕事？ラピスラズリの？仕入れか何かですか？」

「あぁ、うるせぇなぁ」

海斗さんが苛立ってるのがわかった。


これ以上いると危険？


そう判断してあたしは立ち去ろうとした。

「来た！奴だ！行くぞ」

智也さんが、向こうから歩いて来た男性を見つけると、海斗さんに向かって声をかけ、男性に向かって歩いて行った。

あたしは、興味本位で、二人の後を少し距離をとりついて行った。

智也さんは、男性に近づくと、何か話しはじめた。

海斗さんは、ある一定の距離を男性との間においていた。