フゥゥゥ。



あたしは、ため息をつきながら、ドアを閉めた。


ラピスラズリで働きはじめて、1週間がたっていた。


ビル2階の在庫の部屋のドアを閉めて、右側のドアを見た。


いつも気になる貼紙が貼られていた。



【お子様入るべからず】



2階の部屋は、二部屋しかドアがなく、左側は、智也さんに言われた、パワーストーンの在庫の部屋で、右側の部屋は、全くわからなかった。


とりあえず、ラピスラズリとは関係なさそうだった。


ただ、毎回、この貼紙に対し、何となくムカついた。



お子様って!?



誰に対して言ってるのかしら?!



前に涼子さんに聞いても、あの部屋はなんなのかわからない、と言われた。


「私はお子様じゃないから、気にならないけど」


と付け加えられたけど。



あたしだってお子様じゃないわよ!



もぅ17歳なんだから!



あたしは、荷物を降ろしながら、あの部屋の事を少し考えていた。



きっと何かのお店が、入ってるんだよね。



ビルだし。



でもビルに社名ないんだよね。



【お子様入るべからず】なんて、貼紙だけで怪しいよね。



お子様に見られちゃいけない物とか、売ってるってことなのかな。



あ、あんなの、とか。こんなの、とか?



想像を掻き立てられ、真っ赤になった顔に、手でパタパタとあおった。


お店に戻り、カウンターに、パワーストーンを置き椅子に座った。


そして、店内を見回す。


「暇ぁぁ」


カウンターに顔をつけた。


この1週間、あたしが1人でお店にいる時間帯は、全くといっていいほど、なぜかお客さんが来なかった。


着替えて売場に行くと、それと交替で、皆がそれぞれ休憩しに行くからお店にいなくなっちゃって。


すると、お客さんも、ササ〜って消えちゃうんだよね。


そのあからさまな客入に対して、あたしはため息がでるのだ。


だから、あたしがやってる仕事といえば、お店の掃除と、パワーストーンの補充くらいなのだ。