一樹 side


「一樹、起きて!」

いつものように俺の姉、木坂夕菜が俺の部屋に入ってくる。
そして、俺は、いつものように寝た振りをするのだ。

「もう、起きてってば!
 先に学校行っちゃうよ?」

これもいつもの夕菜のセリフ。
ここで俺は、起きるんだ。

「いい加減に男の部屋に入るのやめたら?」

俺は迷惑そうな顔をして言う。
もちろん演技だが。

だって、俺の好きな人は夕菜だから。