「杏!忘れ物!!」 渉があたしを呼び止めた。 ―――忘れ物?? なんだろうと考えながら振り向くと、不意に口元から温もりを感じた。 「明日な!!」 渉が走っていくのが視界の片隅に見えた。 でも、あたしはそれどころではなく、何故か自分の部屋にダッシュした。