過去作品集○中編


最終日という事もあって、まずは皆でお土産を見に行く事になった。

古風な町並みに数多くあるお土産屋さん。

中でも一番大きなお店に「あれ」はあった。

『吉見! これがサルボボだよ!』

ボールチェーンに繋がってキーホルダーになってるサルボボを手に取って言う。

『あー、見たことあるわぁ』

吉見は苦笑しながら私の手からさらっていった。

『確か去年、お土産で貰ったやつだ』
『へぇ、高山に来た人がいるんだ』
『うん。 同じもの買ってってやろ』

同じのあげたって喜ばないんじゃ……
そう思ったけど、吉見が楽しそうに笑うから、何も言えなくなってしまった。

こういう笑顔が一番、可愛いんだよね……なんて。

『夏乃は何か彼氏に買うの?』

『うん。 何がいいかなぁ?』

正直、ちょっと気まずいから無事にわたせるかもわからないけど……

『縁結びのお守りも渡すんだろ?』

と、吉見が付け足して言った。

何それ。
本当に誠に渡しちゃっていいの?

吉見が結びたいのは……

『片方は、吉見が持ってるんじゃないの?』

『……え?』

しまった……と思った。
言うつもりなんてなかったのに。

答えがどんなだとしても、私達が気まずくなるだけなのに。

『気付いてたんだ』

諦めたように穏やかに笑う吉見。

『俺、夏乃が好きなんだ』

一瞬で、体温が上がる。
こんなにも真っ直ぐに気持ちを伝えられたら、逃げ場がなくなるよ。

『でも、彼氏いるの分かってるから大丈夫だよ』

大丈夫?
それは、諦めるって事?


『夏乃ー、吉見ー? 二人で何やってんのぉ?』

と、遠くのほうから千里が私達を呼んだ。

『な、何でもないよ! お土産が決まんなくて』

ごまかしながら、吉見を横目で見ると、吉見は笑顔で手を振った。

そっか。
気にせず千里んとこに行けって事か。


去り際に振り向いた私の目に入った吉見の口元がパクパク……

何て言ってるの?
よくわからない。

ご?
め?
ん?
ね?

「ごめんね」って……

馬鹿。
私が謝りたいぐらいだよ……