《ピピピピ》
甲高い目覚ましの音がする。
ふと横に置いてある目覚ましに目をやると5時半を指していた。
……起きれた。
重い体を起こし、顔を洗って歯を磨いて。
集合場所の駅に向かった。
『珍しく早いじゃん!』
駅につくと、チラホラ人が集まっていて、その中にもちろん吉見もいる。
『こいつ、楽しみで寝れなくて、6時から駅にいるんだよ!』
大西くんが吉見の腕を掴んで言った。
集合時間は7時半なのに……
期待を裏切らない奴。
私が到着してから10分足らずで、全員の到着が確認された。
と、いうわけで、いざ高山に!
私たちが行ったのは、観光のための町並みなのか、古い家やお店が立ち並んでいた。
その中に雑誌にのっていた飛騨牛ラーメンのお店もある。
『吉見? 入らないの?』
お店の前で立ち止まったまま、動こうとしない吉見に声をかける。
『うん、先に入ってて。 俺、行くとこあるし』
吉見は、ニッコリと笑うと道の向こうに姿を消した。
『夏乃は?』
吉見の後ろ姿を目で追っていると千里が訪ねた。
私は……
『ごめん。 吉見が迷子になるといけないから私も行く』
そう言うが早いか、私の足は真っ直ぐに走り出していた。
『吉見! 待ってよ!』
後ろから大声で呼んだ私に、吉見は驚いた顔を見せる。
『何でラーメン屋入らねぇの?』
『だって吉見の様子おかしかったから』
私がそう言うと突然、制服のポケットから水色の小箱を取り出した。
『もしかして煙草吸いたかっただけとか?』
『うん』
あ、呆れた!
こっちは心配して追い掛けてきたのに!
そんな心配をよそに、煙草に火をつける吉見。
くわえた煙草の先からは白い煙が立ち上る。
甘い、バニラの香り……
『何で吉見はバニラの煙草なの? おいしい?』
私がそう聞くと軽く微笑んで口を開いた。
『夏乃が、煙草の匂いが苦手って言ったから』
……それは誠の口癖だ。
どうして今、吉見が言うの?

