『夏乃? どうかした?』
トイレから帰ってきた誠が、ポンと後ろから私の肩を叩く。
何も無かったような顔をして……
『わ……私、友達から呼ばれちゃったから帰るね』
『え? なら、気ぃつけて帰れよ』
どうしよう。
誠を信じなきゃいけないのに。
平気なフリをして「電話鳴ってたよ」って言わなきゃいけないのに。
上手く笑えない。
『ごめん……』
私は、逃げるしか出来なかった。
決定的な事実を突き付けられるのが恐かった。
……千里……
助けてよ!!
『出ない』
千里、電話に出ない。
電車かな。
まだ学校かな。
どうしても、話がしたいのに……
……吉見?
何で私、吉見のメモリ開いてんの?
吉見なら聞いてくれそうだから?
慰めてくれそうだから?
ううん。
誰でもいい。
誰か、話を聞いて……!

