過去作品集○中編


『吉見、めっちゃカッコよかったねー!』

5限が終わると、遠足のメンバーが揃って吉見の周りに来た。

『マジで? 俺そんなにカッコよかった?』

『うん。 委員長がね』

『おい……』

そんなやり取りを聞く時間が伸びた事が、本当に嬉しかった。

恋愛感情に似た友情?
そんな何かを感じる事、まだ誰にも言えない……


『あ、そういえば吉見って、何で私のアドレス知ってたの?』

『へ?』

何気なくそう聞くと、吉見は明らかに気まずそうな顔をした。

『か、風の噂で?』

『はぁ?』

んなわけないじゃん。
隠す事なんて何があるのよ。

『ごめん』

謝るなんて余計に怪しいよ……








『誠? 聞いてる?』

『……ん? 何だった?』

人の話聞いてないし。
せっかく掃除当番代わってもらってでも誠と帰ってんのに。

こんなんなら、ちゃんと掃除して千里と帰れば良かったよ。

そういえば、怪しいと言えば最近の誠も怪しいな。
今みたいに、何を話しても上の空だ。

この間、美恵先輩との事を聞いてからずっとそうだなぁ。


『ごめん。 トイレ寄っていい?』

と、コンビニの前を通った時に誠が言った。
よほど我慢してたのか、荷物を私に押し付け、店内に入っていく。

《~♪~♪》

それとほぼ同時だった。
誠の鞄の中で、携帯が大音量で鳴った。

あまりの音量に、周りの視線が痛い。
絶対「早く消せよ」って思ってるし!

どうせメールだろうし、音だけでも消さなきゃ。
そう思い、携帯を取り出すと、メールじゃなく着信だった。

それなら、保留にしてやる。

『……え?』

開いた携帯の画面に、目を疑った。
ハッキリと、「美絵」と表示されてたから。

「夏乃と付き合ってから話もしてないよ」

何で、そんな嘘つくのよ……
嘘って、結構辛いんだから。

元カノと連絡を取ってる事より、それを隠された事が悲しい。

もう。
一体何なのよ……