『もう7月かぁ』
あの席替えからの2ヵ月は、本当にあっという間で、日に日に窓から差し込む紫外線が強くなってきた。
隣で真剣に黒板を見る吉見も、いつの間にか半袖になっていた。
『もうすぐ席替えだね』
何気なく隣に声をかけると、吉見は寂しそうに笑った。
『あっという間すぎて、寂しいよな』
私と同じ気持ちなんだと、何だか少し嬉しくなる。
昼休みの終わりを告げるチャイムと同時に教室に入ってきた担任は、大きな白い封筒をバサッと教卓に置いた。
それが何を意味するか、誰もが知ってる。
『みんな、待ちに待った席替えだぞー。 前と同じように順にクジを引いていってくれ』
生徒たちが声をそろえて返事をし、席を立った。
ついに私の順番がきて、封筒に手を突っ込む。
並んだのが遅かったから、あまりクジは残っていないみたい。
12番だ。
嫌だなぁ。
前の方の席だ。
『夏乃は何番だった?』
クジを引き終えて戻ってきた吉見が私のクジを覗き込む。
『12番だよ。 吉見は?』
『俺、42』
って事は、今の私の席だ。
『あはっ、替わるの楽でいいねぇ!』
また隣かも、とか思ってた自分が不思議だ。
あんなに吉見が嫌だったのにさ。
『じゃあ、番号通りに移動しろよー』
担任がそう言った瞬間だった。
誰よりも早く立ち上がった吉見が、手を高く上げて言ったんだ。
『待った!!』
教室内に響く吉見の声。
誰もが吉見を見た。
『吉見? どうかしたか?』
『こっ、このままで良いんじゃないっすか? 遠足も、席の近い奴と班組んでるし』
同意だった。
遠足が終わるまでは、このままがいいって思ってたから……
『僕も賛成です。 今のクジは番号だけ控えておいて、遠足後にその番号に移動ってことで、どうでしょう?』
と、委員長の木下くんが吉見を手助けするように手を挙げた。

