過去作品集○中編


私達は、桜さん作ったケーキやオードブルを食べた。
ただひたすらに……

『もっと楽しそうにしてよ! せっかく頑張ったんだから』

そんな皆に喝(カツ)を入れる桜さん。

皆が……特に達也が楽しくなさそうなのは私が原因だ。

こんな所に来てしまったから……

『桜と亜由美が仲良くしてるなんて驚いたよ』

と、沈黙を破るように翔くんが言う。

『でもこんなに会話したの初めてだよね?』

『うん。 ってか勝手な事して迷惑だった?』

桜さんは子犬のような縋(スガ)る目をして、翔くんの肩に寄り掛かる。

『迷惑じゃないよ。 自分の誕生日に皆が来てくれて嬉しいし』

翔くんまで……
そんな密着したら達也の機嫌がまた悪くなってしまう。

『俺は迷惑だ』

心配した通り、達也は机をバンと叩き、二人を睨む。

『桜もお節介なんだよ! どうせ俺と亜由美の態度がおかしいとか思ってんだろ』

達也は大きな声を上げ、今にも殴り掛かりそう。

『達也。 桜に当たんな』

そんな達也を相手に、桜さんを抱きしめ庇う翔くん。

ちょ、ちょっとその行動は火に油ってやつなんじゃないの!?

桜さんも離れようよ!!

彼氏を目の前にしてヤバイって!

そういうのは二人で隠れて……
いや、隠れたら浮気なんだけど……

『文句あるなら帰れ。 大体、お前が巻いた種だろう』

『翔、てめぇ……』

『嫉妬だよ、嫉妬。 お前はガキくせぇ自分を認めたくなくて、亜由美のせいにして捨てたんだよ』

……嫉妬?
翔くん、何を言って……