『うん、上出来!』
仕上がったばかりのケーキやオードブルを机に並べ、桜さんはガッツポーズ。
こういう所は子供らしいなって、少し安心した。
《ぴんぽーん》
と、調度その時。
玄関のインターホンが鳴って誰かが入ってきた。
『おかえりなさーい、達也さん』
それはやっぱり、達也だった。
『お客さん来てんの? 靴あるけど』
達也はそう言って、私のいるリビングに入ってくる。
『……亜由美』
私を見つけた時の達也の顔。
一瞬で氷ついたように無表情になった。
『桜』
『はい?』
『勝手に客連れてくんな』
達也……
何か怖い……
やっぱり来ちゃいけなかったんだ。
『私のお客さんです』
『桜の家じゃないだろ』
『……翔は、そんな事で怒りません』
桜さんはそう言い切ると、達也の目をジッと見た。
達也の前で翔くんの事なんて、どういうつもりだろう。
きっと達也にとって禁句なのに……
『好きにすれば』
と、達也。
悔しそうな表情を見せ、私に言う。
『俺、奥にいるからアイツ来たら教えて』
私が嫌いでも、桜さんには逆らえないんだろう。
ぶっきらぼうな台詞と共に、奥の部屋へと入っていった……
『ごめんなさい。 達也さんが失礼な事言って……』
しばらくして桜さんが謝った。
『ううん。 勝手な事したのは私だもの』
……ってか、桜さんもなんだけどね……?

