過去作品集○中編


『ちょうど今日、パーティーするんですよ』

『パーティー?』

『はい! 大勢のが、きっと喜びます』

何のパーティーかわからないけど、かなり強引に手を引かれコンビニを出る。

ってかスエット!
スエットなんですけど!!

『一緒にケーキ作りましょ? オードブル作ったり、2人でやったら楽しいですよ』

オードブルって、どんだけ本格的!?
女子高生のする事じゃないってば!





『もう着きますよ』

コンビニを出て歩くこと30分。

白い5階建てのマンションが見えてきた。

『どうぞ、上がってください。 って言っても私の家じゃないんですけど』

そう言って手慣れたように鍵を開ける。

男の人が持つような黒のキーケース。
それに「私の家じゃない」って……

『中は一応片付いてますんで、適当に座ってください』

黒を基調にしたモノトーンの部屋。
無駄なく整頓されてるのは少年漫画にメンズファッション誌。

やっぱりここは達也の部屋だ。

ってか合い鍵!?
い……いやらしい……

『どうかしましたか?』

『え? あ、ううん』

いやらしいのは私の脳内か……


大きな液晶テレビの前に置かれた二人がけのソファー。

ここに、達也と座るんだ。
ここで、2人は笑うんだ……

ヤバイ。
かなり虚しくなってきたよ……