過去作品集○中編


6日連続勤務を終えた7日目。
ようやくお休みが貰えた。

『亜由美! ゴロゴロしてないで、たまには外に出なさいよ』

今日、何度目だろう。
お母さんのこの台詞。

こんなんじゃ失恋気分も味わえない。

『亜由美、聞いてるの?』

本当、人の気持ちなんて知りもしないで……

『うるさいなぁ。 外行きゃいいんでしょ、外に!』

本当に何度も言うから、私は当て付けに、上下スエットという異様な状態のまま家を出た。

コンビニでも行って適当な漫画でも買ってこよう。

さすがに近所のコンビニは恥ずかしくて、2つ先のコンビニまで歩を進める。

それが間違いだった。

『あっ、 亜由美さんだぁ』

あの子に会ってしまったんだ。

『……こんにちわ。 偶然だね?』

一応、挨拶くらいしておかなきゃね。

ってか薄ピンクのミニワンピ。
めちゃくちゃ可愛い……

女子高生だから出来る生足だ。

その隣に立たなきゃいけないスエットの私って何者?

『そういえば、あのネックレス! やっぱすっごい可愛いです! ありがとうございます!』

『ホント? あれ、私がデザインしたんだよ』

『えぇ!? すごいです!』

桜さんは口元に手を置いて笑う。

真っ白で華奢な指。
可愛いとしか言いようがない。

『……達也って、どう?』

『え?』

不思議そうに首をかしげる桜さん。

『あ、変な意味じゃなくてね。 元気かなぁって思って……』

マズかったかな。
聞かなきゃよかったかも。

いくら寛大な子でも、彼氏の話を元カノとするのは気分悪いよね……

そう思った時。

『すごく元気ですよ! ってか今日も会うんで一緒に会いますか?』

そう言って笑ってくれた。

『い、いいよ! 会っても話すことないし!』

『大丈夫ですよ? 達也さんおしゃべりですから』

おしゃべりとかそーゆう問題じゃないんだけど……

やっぱりこの子、不思議ちゃんだ……