『遅くなってごめん』
放課後、誰もいなくなった教室に、誠が現れる。
『それで、話って?』
入ってきた時の笑顔が作り笑いだった事。
声がいつもより低い事。
そんな事から、誠の話が良くない事だと察しがついた。
『夏乃、俺に隠してることない?』
『……え?』
隠し事?
私、隠し事なんて……
『クラスの奴から、お前が他の男と抱き合ってたって聞いた』
眉間にシワを寄せ、私を睨むように見る誠に、足がすくんだ。
こんなに本気で怒った姿は初めてだ。
何だか怖い……
『誠……それは……』
それに、抱き合っていた相手に心当たりがあるから、余計に辛い。
吉見から抱きしめてきたけど、抵抗しなかった私も悪いわけで……
『俺からより戻しといて悪いんだけど』
嫌。
嫌だ。
続きを言わないで。
『俺、夏乃と別れたい』
そんな事言わないで……
『いくら俺が浮気したからって、仕返しとか有り得ねーよ』
違う、違うの!
仕返しなんかじゃないの!!
『じゃあ、そいつと仲良くな』
違うのに、
何も言い返せない……

