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ピッピッピッピッピッピ...

鳴り止まないずっと一定のリズムで
なり続けるその機械音が

真っ白の家具に取り揃えられた
真っ白な壁や天井の部屋で鳴っている

部屋の外も真っ白な雪が舞っていて
地べたには白いじゅうたんが
ひかれているようだった。

その部屋の中央には
真っ白のベッドがあり、
その上に目を閉じた
黒い髪の少女が眠っていた。

その機械音の中に
ドアの叩かれる音が響いた。

そして、銀色のドアノブが回され
一人の男が入ってきた。

男は静かに部屋の隅にあった
花瓶の中の水を捨て
持っている新聞紙に包まれていた鈴蘭を
そっと新しい水が張っている花瓶の中に
差し込んだ。

そして、男は部屋の中央で眠っている
少女の手を取り涙を零した。

「また今年も冬が来たよ。」
そうつぶやいた。

しばらくして
男は手をまたあった場所に戻し、
静かに部屋を出た。


そして、意識を持たない彼女は
目を開くことのできない彼女は
そっと涙を流した───────。