「司。」


ふいに呼ばれた名前に俺は


「何、」


ちゃんと返事を返した。


「亜美と幸せになりなさい。」

「パパ・・・」

「いいか、亜美を泣かせたら怒るからな~っ」


強がっているのが丸見えな

親父。


「当たり前。幸せにしねぇーと罰当たるな」

「高校を卒業したら、あの家売って、マンションに住みなさい。」

「パパ?!」

「あの家には司と亜美の兄弟だったころの思い出しかないだろう?新しい思い出を作るんだよ」

「でも、パパッ・・・」

「親父、俺はあの家に住む。」


壊すなんてやっぱり駄目だ。

あの家には亜美との大事な思い出の場所でもあるんだから。

無くなってしまうなんて

納得いかない。


「司、なぜだ」

「あれは俺等の居場所だ。壊すなんて俺が許さねぇ」


心なんて揺らがない。

100%この気持ちを曲げることなんてしない。


「・・・亜美もそう思っているのか??」

「うん。わたしも壊したくないよ・・・」

「だったら2人にあの家をプレゼントしよう。」


プレゼントって簡単に言うか??


「ふっ・・・じゃ、貰うわ。俺と亜美の家ってことで」