「司の母親は優美子さんと言ってな、名前の通り優しくて美しい女性だった。司の父親は、祐輔と言ってわたしの同級生だったんだよ」


そのまま誰も喋ることなく

親父がまた喋りだした。


「亜美と司は本当に仲が良くて、いつもいつも一緒だったんだよ。ある日、祐輔たちが知り合いの結婚式に呼ばれたから、司を預かって欲しい。と頼まれてな、預かったのだよ。そして、祐輔たちが出かけてから2日目の夜に電話がかかってきたんだ。」


俺を捨てたのか?

優美子って女と、

祐輔って男は俺を捨てたのか?


「通り魔によってお腹を刺されて病院に運ばれたが数時間後死亡した。と・・・」


俺の親は殺された?

ただの・・・ただの

通り魔に??


「司を引き取ってくれるところは無くてね・・・だから引き取ろうと思ったんだ。亜美と訳隔てなく育てようと。本当の息子の様に育てようと。そう思ったんだ。」


親がいなくなった俺を引き取ったのが亜美の家族。

じゃぁなんで俺は亜美を

「姉貴」

だなんて呼んでたんだ・・・


「思ったのも束の間、事業が大繁盛して、大規模な会社にまで育てられるようになったんだ。生活は確かに裕福になったが、お前達2人に愛情を注いでやることは難しかった。」


引き取ってくれたことは感謝したい。

でも亜美を放って仕事だけに専念するなんて

親ができるこじゃない。


「だから使用人を雇って全て任せたんだ。」


使用人とか言う奴等に

俺等は育てれられて育ってきた?


「そんなの言い訳に過ぎないだろ」

「言い訳なのは分かっている。でも今更って思うかもしれないが、これだけは分かって欲しい・・・・・・司と亜美は血は繋がってはいない。」