「もう家族を失いたくは無いんだよっ・・・」

「・・・っ!!!」


俺の思いも寄らない言葉に姉貴は目を見開き


「そうよね・・・唯一の家族なんて呼べるのは司だけだものね・・・」

「姉貴は俺が1人で生きていけるとでも思うか?家事は?料理は?俺ができるとでも??」


家事なんて料理なんて楽勝。

でもこの言葉でしか姉貴を縛れない。

繋ぎとめることができない。


「でもわたし・・・優輝には勝てない。」


手首の傷を強く握り始める。

痛いに決まってる。

包帯から血がジワジワと染みてくるのが分かるくらいだから。


「だったら引っ越そう。優輝から離れて遠くへ逃げよう」


何言ってんだよ俺は・・・

まるでカケオチしようって言ってるようなもんだ。


「引越し??」

「この家売って、マンション買ってそこに住もう」

「え、でも・・・」

「家を売っても親父たちは困るとでも思うか?何1つ荷物無いし、売ったとしても返事1つで終わる。絶対に。」

「でもどこに・・・」

「学校も辞めて、ゆっくり住もう」


学校を辞めるなんて相当なことだと思う。

でも俺はそれなりに覚悟してる。

覚悟がある。

全てを捨てて姉貴といれる覚悟がある。


「・・・」


悩んでる姉貴を見ると

バカな俺って思う。

でも姉貴の答えは


「いいね、それ・・・」