亜美SIDE



「じゃ、俺帰るな」

「うん・・・」


彼は、優輝は笑顔で手を振り帰って行った。

・・・最低・・・


「やっぱ弱いなぁ・・・わたし・・・」


閉まりきった目の前の扉を見つめて

涙を流した。


「もう逃げられないよね・・・覚悟決めなきゃ・・・」


キスマークまでつけたってことは

そろそろわたしにもそんな時が来るってことだよね。


「初めてを捧げる相手が優輝なんて・・・最悪だなぁ・・・」


わたしだけを照らすような

頭上の電気を見て

もう逃げ道なんか無い。

覚悟を決めたわたしが

照らしだされた。


「司もそろそろ来るよね、戻ろなきゃ」


リビングに入り、テレビをつける。

お笑いがちょうどついていた。

いつもは面白いのに

今だけは

くだらない

なんて思った。


「姉貴、」


愛しい愛しい優しい大好きな声が聞こえた。