「司・・・司っ、早く戻って来てっ・・・」
その声を聞いて俺は足が動かなかった。
なぜなのかは分からなかった。
ただただ・・・
こんな時間に誰も来ないはずなのに
チャイムが鳴ったから。
だから動けなくなってしまった。
「誰・・・??」
姉貴がフラフラと立ち上がり
玄関に向かう。
俺はとっさに身を隠した。
「はい??」
「亜美!!!!!」
「ひっっ・・・」
姉貴が悲鳴をあげた理由は
「優輝・・・なんでっ?!」
息を切らした優輝が立っていたから。
「亜美っ俺どうしても言いたいことあってっ」
「帰って!!出てって!!」
「司にも頼んだんだけど、俺とまた付き合って欲しいんだ!!!!」
「きゃっ」
優輝は姉貴を抱き締めて
「本気なんだよ・・・亜美が好きなんだよ・・・」
弱気な声でそう呟いた。
「優輝っっ・・・」
「亜美俺とやり直してくれないか??」
「わたしっ・・・」
答えに詰まっている姉貴は
手を堅く堅く握り、
「好きな人がいるの」


