「髪の毛いい匂いでしょぉ??」
俺に髪の毛を近づけてくる。
「っ・・・いい匂いじゃん」
甘い香り。
姉貴にぴったりの甘い甘い香り。
「司もお風呂行っておいでぇ、亜美待ってるよぉ」
「じゃ行ってくるから」
「ばいばぁ~い」
風呂場に入れば
姉貴の香りでいっぱいだった。
「早く上がろ」
シャワーだけ浴びて
頭を洗って、体を洗って
素早く出る。
リビングに入ろうとドアの取っ手に手をかけるが
「・・・優輝ばっかり・・・」
携帯を見つめ震える姉貴がいた。
「5分ごとに・・・かかってきてるっ・・・」
着信履歴を見てるんだと思う。
優輝からの電話は30分続いたんだ。
30分の間に6回はかかってきてるはず。
「メール・・・25件??・・・優輝、優輝、優輝・・・優輝ばっかりじゃない!!!!」
ガシャン、と携帯を落とし、
頭を抱える姉貴。
「なんでっ、なんでっっっ」
恐怖と不安と疑問が姉貴を襲う。


