「たっだいまーーーっっ」
俺等しかいない家に
姉貴はうるさいくらいに叫び入ってゆく。
「ご飯作るから、出来たら呼ぶから着替えて来てね」
「了解です」
俺は二階に向かう。
部屋に入る前に姉貴の部屋の扉を見つめる。
「俺等が兄弟じゃなかったら・・・俺即告ってたわ」
あんな可愛い女放っておく男がどこにいる??
でも俺には昔から心に引っ掛かる言葉がある。
『あら、司くん亜美ちゃんこんにちわ・・・いつ見ても綺麗な顔してるけど、どこか似てないのよねぇ・・・』
いつもいつもいつも。
このセリフを聞かされて。
言われて。
笑って誤魔化して
「そーっすか?!これでも俺等兄弟なんすよねえ~っ」
なんて言い返していた。
『まぁ、かっこいいし可愛いからモテるでしょ??だれも似てる似てないなんて気にはとめないわよ。』
言い返しても結局はモテるモテない。
それを言われて何度も傷ついてきた。
似てる似てないなんて誰も気にとめない。
なんて酷く残酷な言葉なんだろうか。
俺等をバカにしてる。
俺と姉貴を侮辱してるようなものだ。
そう分かっていても
俺等はその言葉に言い返しなんて出来なかった。
生まれてきてからずっと言われ続けていたから
抵抗なんて無かったんだと思ってた。
でももう俺等は子供なんかじゃない。
言われ続けてきた言葉の意味くらい
分かってる。


