「い・・・いやっ!!!」
彼の手を思い切り
振り切った。
「お願いっ・・・何も・・・しないでっ・・・」
怯えるわたしに彼は
『大丈夫。俺は君の手当てをするだけだから・・・』
1回抱き締めて
言い聞かせる。
「え・・・」
落ち着いたわたしを見て
『こっちおいで。傷口見てあげるから』
「あり・・・がと」
『俺も昔これ以上酷いことしたよ。リストカット』
「え?」
『脆い体が嫌で嫌でさ、死のうと思ったんだよな~俺』
名前も知らない。
出逢ったばかりの彼は
どんどんわたしに心を開いたようだった。
『体が脆くて、貧血んなるし、倒れるし。もうボロボロ。最悪だよな』
包帯を巻きながら
切ない顔をする彼。
かっこいいと思った。
司ほどではないけど。
かっこいいと思う。
『酒飲んで、たばこ吸って。女と何人も遊んだ。最低で汚い俺。』
「・・・そんなこと言わないで??」
貴方は最低じゃないでしょ?
ほんとは優しい人なんじゃないの??
「汚いほうなんてわたしだわ・・・」
初対面に関わらず
優輝とのことを全て話した。


