誰かが私の前に立ち、英二を連れて行こうとしていた。

私にはそれが誰なのか判断出来ない。

頭の中が真っ白で何も考えれなかった。

するとポツポツと雨が降って来た。

私は、走る訳でもなく、ただ呆然と立っている。

「……」

「あれ?真琴、どうしたのこんなところで。風邪引くよ?」

「…………」

誰か私に話かけている。
誰だろ、聞いたことのある声が私の脳裏から離れない。

あれはまだ小学生のころだっただろうか、以前にも同じことがあったような気がする。