「今さっきこれ読み終わって!お兄さんならここの棚に詳しいんでしょ?」
検索機に案内されたり図書館の人のとこに連れていかれたくないから、
お兄さんの説明はシカトして、とにかくお兄さんと会話を続けた。
「お兄さんが読んだ本が良いんです、わたし夏休みの自由課題に“若者とまーけてぃんぐ”について調べてて!!」
でたらめを言った。これはママの言葉じゃないわ、わたしの閃きと応用。
ドキドキする。邪魔な子供だって思われたらどうしよう。
「へえ、偉いね」
想像とは違う甘い笑顔が向けられた。
他人のわたしたちが、“出会った”瞬間―――



