いよいよ花火大会という日。 A子は浴衣をこっそり買ってお店に行ったわ。 店長さんに店員さんの売上になるようお願いもしてね。 「お仕事のあと花火大会に行きませんか?」 …… ぼんやり顔の娘たちに、 「どうなったと思う?」と尋ねれば、分からないと言う。 ああ、まったく。 「お父さんとお母さんの話じゃないの」 にっこりと微笑んでやった。 懐かしいわね、今目の前にいる子供たちは何十年も前の自分だもの――― 恋に夢見るお姫様。