涙の止まらない目をきゅっと閉じて、頭を撫でられて、ようやく落ち着いた頃に、信也さんは口を開いた。
「……誤解だ」
「誤解?」
「ああ。
……倫子、俺達が初めて会った時の、結婚式を覚えているか」
未だに混乱を引きずっている頭の中に、ぽかんと、
フラワーシャワーの籠を引っ繰り返した時の事が浮かんできた。
あの時、信也さんが開いたドアにぶつかって、私は転んだ。
あの時の招待客には若い人が多くて、お行儀の良い人が多くて、
バイトのメンバー達がそれで盛り上がって、
新郎新婦が余興でピアノとバイオリンを演奏したのが印象的だった。
「お前が見たのは、その時の新婦だ」
「……え」
「ちなみに、俺とは新郎ともども小学校の頃からの腐れ縁で、彼女は現在妊娠三カ月……」
待って待ってちょっと待って。
「……更に、先週の……その日曜日。
実は、その場に、もう一人いたんだが……」



