だけど、私は恋をした……。
この気持ちだけは、本物だった。
不意に信也さんの力が弛み、解放される。
体に力が入らないので、そのまま後ろの壁に頭をぶつけた。
痛みはあまりない。
感覚が麻痺している。
薄闇の中で、彼の手がついっと動いた。
ぶたれるのかと思い、諦めて目を瞑った。
しかし、彼の手が暴力的に触れる事は無かった。
目元を、親指で擦られたのが分かった。
涙を、拭われた。
そんな事しなくていいと言いかけた口が、彼の唇で塞がれた。
壊れそうなくらい大きく、心臓が跳ねる。
勘違いしてしまいそうなくらいに。



