空き瓶ロマンス




(嘘でしょ……)
 

扉が、突然開いた。


そして、そこには信也さんがいた。
 

だけど、何で、というにはあまりにも、答えが分かり切ってた。
 

彼が、素手でこじ開けたのだ。


エレベーターの小さな個室が、変にぐらりと揺れる。
 

呆気にとられているうちに、彼もエレベーターの中に入って来た。
 

咄嗟に私は出ようとしたが、彼の伸ばした腕に遮られてしまった。


もう一度、扉が閉まる。
 

しかし、今度は変な音がした。

 
閉まった瞬間に、『がりゃり』と鳴ったのだ。


嫌な予感がして、慌てて次の階のボタンを押したが、ボタンのランプは何度押しても点かなかった。


(えっ……ちょっと待ってよ……!)
 


やがて、個室内の照明がことりと落ち、エレベーター自体が一度、がくりと揺れた。



でも、その後は何も起こらなかった。